ごあいさつ
はじめまして、露木俊治です。
現在、東京の麹町で『つゆき治療院』という鍼灸院を経営しています。2021年現在で開業して19年目になります。
開業した当時、まだ学生だったので午前中は鍼灸の学校に通っていました。学校が終わると電車に飛び乗り、そこから夜遅くまで接骨院院長とし半日営業をする。そんな寝る時間もないような日々を過ごしていました。
患者さんのほとんどが高校の運動部の選手たち。
早く痛みを取ってあげたい。試合に勝たせてあげたい。その想いがすべての原動力でした。
患者さんの喜ぶ顔を見るのが大好きだったんです。
陸上競技短距離選手専門として治療院をスタートし、いつしか口コミが広がり、様々な競技に関わるたくさんの選手に来ていただける院になっていました。
実際にスポーツの現場にもたくさん行かせてもらいました。そこには、院内では決して経験できないピリッとした緊張感と臨場感があったのを覚えています。そしてこの経験はのちに、私の治療家としての向き合い方に大きく影響を与えることになります。
私の関わっていた陸上競技の短距離種目というのは、0.01秒で勝敗が分かれます。
あと0.01秒速く走れていたら優勝できたのにあと0.01秒速く走れていたら・・・
0.01秒の世界。
ここを縮めるためにいろいろなものに耐えながら、家族や監督と一丸となり必死に練習するのです。ある大会では、優勝すれば進学できる大学があり、就職できる企業があります。
人生が変わる選手もいるのです。
とにかく勝ちたい!!!
だから死ぬ気で走る。
このような結果を出し続けなければいけないスポーツの最前線で15年以上サポートをしてきました。
そして、見えてきたものがあります。それは、表面的なアプローチだけでは何も変わらないということです。
そんな環境で選手と、監督と、家族と向き合うとき、遠慮や表面的な優しさなんて通用しませんし、求められていませんでした。
耳に痛いことも言わなければいけません。
もう、こちらも本気なのです。
当時、私は誰よりも選手の可能性を信じていました。だからこそ厳しいトレーニングや言葉も伝えることができました。
そうやって、みんなで一緒に乗り越えた先にある優勝やベストが出せたときの喜びは本当に大きなものでした。まるで自分のことのように嬉しかった。
そして、現場では何を求められているのかに気づけることも大切なポイントでした。選手がベストを出すためには、瞬時に課題を見抜き、どこに改良点があるのかをいち早く見つけ出しアプローチをします。
これは、今の自分の臨床力をつけるベースに繋がっています。
私には治療家としての
使命があります
それは、今のあなたにとってのベスト(最高の状態)へ導くためのサポートをさせてもらうことだと思っています。
今、目の前の人の身体と心に何が起きているのか。
相手のことをしっかりと見て、しっかり聞き分析をします。そこからどうなりたいかを聞いた上で、やった方が良い治療を一緒に組み立てていきます。すると、ご自身の課題と向き合う必要が出てきます。
そこから目を避けたら課題の改善ができないことがあります。そんなときは本音でぶつかります。
時には耳に痛いこともお伝えしますし、誰にも言われてこなかったようなことにも切り込んでいきます。
だって本当に良くなって欲しいから。でも、耳に痛いことを言われたい人はいないですよね。
当然、気まずい空気が流れたこともありましたし、離れていく患者さんもいました。
本気で向き合うことで人が離れていく。
これは本当に寂しかった。
正面から向き合うことが怖くなった時期もありました。私だって本当は人に好かれたいし、嫌われたくありません。でも、相手の機嫌を取ったり、お世辞を言うことが優しさじゃないことを知っています。
優しく接することが優しさではないと思っています。
相手のベストのために本気で向き合いたい!
心からの愛情と興味を持って。
それからは、相手に最大限の愛情と、嫌われてもいいという覚悟を持って、ハッキリ伝えるようになりました。それを継続していくと、「他の人なら言わないような言いにくいことを言ってくれる」と患者さんに言われるようになったのです。
表面的には優しい言葉じゃなくても、本当にその人のためを想う言葉は、自分のことを分かってくれている、想ってくれているということが伝わるんだと実感しました。
私は、患者さんの明るい未来を願っています。
様々な医療現場での活動が
今の自分の礎と
なっています
今ではおそらくコンプライアンスが・・・という理由でできない経験をたくさん積ませていただきました。救急病院の当直、救急診療の調剤薬局、整形外科、鍼灸接骨院など、そのすべての経験が宝物です。鍼灸接骨院には様々な症状をお持ちの患者さんがいらっしゃいます。
その中には鍼灸師、柔整師が診ることができない疾患や症状もあります。そんなとき、できないことはできないと伝える。これはとても大事なことです。
自分たちが手を出すことによって悪化してしまうことがあるからです。そして、この線引きは、結構難しかったりします。
線引きの難しさは大きく2つあると思っています。
1つ目は技術的にどこまで治せて、どこからが治せないかの判断です。
2つ目は自分が治さなきゃ!という、一見責任感にも思えるプライドです。
自分のところに来た患者さんを他に任せるだなんて、力量がないことをさらけ出しているみたいで嫌だというプライドがあるときです。私にもこのプライドがありました。
しかし、そんなとき病院で働いた経験がとても役に立ちました。病院の中ではどんなことが行われているのか。患者さんが整形外科を受診したとします。
診察の結果、内科的疾患と分かったら、整形外科の先生は内科の受診を薦めます。患者さんからすると、一見たらい回しにされている体験が起きるかもしれません。ですが、この役割分担が、患者さんにとって最高のサービス提供をすることになります。
ここに気づけたとき、できないと伝えることへのプライドがなくなりました。
それからは医療機関と提携を組みながら、様々な症状に対応させてもらいました。脳神経外科、整形外科、形成外科、外科、皮膚科、耳科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、心療内科、産婦人科など。この症状は、どの病院のどの先生に紹介すればいいのか。どんな治療ができる病院を紹介したらいいのか。それが分かるようになったのです。
今では患者さんを救える1つの選択肢だと思えるようになりました。
セミナー講師として
セミナー講師をさせていただいています。これまで通算700回以上開催してきました。
たくさんの方に受講していただく中で、多くの方に共通することがあります。
それは『自分がうまくいっていないのは、勉強や技術が足りないからだ。だからセミナーを受ければなんとかなる。』という誤解です。その気持ちはとてもよく分かります。
なぜなら、私自身が全く同じ経験をしてきたからです。“不安を埋めるため”にセミナーを受講していました。私は10年以上、それを繰り返していたのです。
しかし、いくらセミナーを受けても患者さんの反応が変わるわけでもなく、自信がつく訳でもなく、売り上げが上がる訳でもありませんでした。
現実が大きく変わることはなかったのです。
どうしてだろう。
もうこんなのは嫌だ、変わりたい。そう強く思いました。そして、あるときに気づきます。
技術は大事。しかし、技術を持った上で治療家としてどう向き合うかの方がもっと大事だということです。
患者さんをしっかり見る、しっかり話を聞く。もっと言うと患者さんの心の声に耳を傾ける。そんなシンプルなことを積み上げることが、相手の安心感や信頼に繋がるのです。
すると、患者さんの反応が良くなり、自信が持てるようになりました。 その結果、売り上げも上がっていきました。ケガの見方、治療方針の考え方、相手への寄り添い方。 これらを含めた“どう向き合うか”ということを 丁寧に積み重ねることで現実が変わったのです。そんな体験から、この部分をセミナーでは熱く語っていたと思います。
参加者の方からは、「露木先生のセミナーは、やることは違ってもいつも同じ話をしている。」
そのような声を数多くいただきました。どうしたら伝わるだろう、どうにか気づいて欲しい。
そんな想いから、とにかく必死にお伝えしました。参加者に苦しんでいた自分を重ねていたのかもしれません。受講された方たちも少しずつ向き合い方と取り組み方が変わっていきました。
そんな姿を見て、私自身も少しでも良い影響力が与えられるように、今まで以上に勉強をし、今まで以上に努力をしようと思いました。
今は、その当時のセミナー受講生たちと一緒に仕事ができていることが本当に嬉しいです。
最後に・・・
私は決して器用なタイプではありません。
でも、あなたにとって最良のモノを探し続けていきます。
そして不安なとき、頼れる存在でありたい。
心からそう思っています。